アレルギーとエピペン®について
アレルギーの中でも、特に重篤な症状を引き起こし、場合によっては発症から30分で心停止に至ることもあるアナフィラキシーショック。以前、アレルギーユニバーシティ内でもご紹介したことがありますが、判断を誤ると生死をさまようこともあります。
アレルゲンとなる食べ物や薬を体内に取り込んだり、虫に刺されてから数分から数十分のうちに激しいアレルギー反応が起こりるため、早急な対応が望まれる症状の一つです。
アナフィラキシーの特徴的な症状としては、ゼーゼーという呼吸が続く、胸がしめつけられるような呼吸器症状のほか、嘔吐や意識がもうろうとするなど消化器症状や全身症状が現れることですが、この時、いかに早くにエピペン®を使用できるかが重要なカギとなります。
あまり耳慣れないかもしれませんが、エピペン®とはアナフィラキシーが発現した際の補助治療剤であり、2011年9月から保険適用となった自己注射薬です。
あくまでアナフィラキシー発現時すぐに医療機関を受診できない場合の応急的な処置として使われるものであるため、エピペン®使用後は必ず医療機関の受診が必要となります。
安易に処方される薬ではないため、アナフィラキシー発現の危険がある場合や医師が必要と判断した場合に登録医によって処方され、処方される側も登録が必要となります。
また、重篤な食物アレルギーを持つ児童にとって、どんなに気をつけていても学校生活の中でアナフィラキシーを起こす可能性はゼロだとは言い切れません。保護者の目の届かないところでアナフィラキシーが発現する可能性がある場合にもエピペン®が処方されており、一般社団法人 日本小児アレルギー学会のホームページには一般の方でも分かりやすい症状の記載が載っているので、該当される場合は参考にされてみると良いかと思います。
一般社団法人 日本小児アレルギー学会
エピペン®は緊急的な薬剤であるため、いざという時すぐ使えるよう適切に管理しなくてはなりません。外出時に持ちあるくことはもちろんのこと、家の中のどこにあるのかは常に把握しておきましょう。
使い方は簡単で、安全キャップを外して太ももにカチッと音がするまで押し付けるだけです。緊急時には、洋服の上からでも注射することができます。何かあった時に迅速な対応ができるよう、練習用エピペントレーナーを使って日頃から練習をしておくこともお勧めします。
薬剤の性質上、高温多湿を避け、冷蔵庫での保管は避けるようにします。小さなお子さんがいる場合は、手の届かないところに保管することで事故を未然に防ぐことができます。
いざという時に命を守ってくれるエピペン®。本人だけではなく、いざという時に対応できるよう周りも十分に理解しておくことが一つの命を救うことにつながるのではないでしょうか。