ラテックスアレルギーとは?
40年ほど前から欧米を中心に多数報告がなされたアレルギーの一つに、ラテックスアレルギーがあります。天然ゴムを素材とした製品に触れたり着用した際に引き起こされるアレルギーですが、そのアレルゲンとなるのがゴムの木の樹液に含まれるタンパク質です。
アナフィラキシーも引き起こすこともあるため、天然ゴム製品に触れるリスクを有している場合は、より一層の注意を払う必要があります。
ラテックスアレルギーによって現れる様々な症状
ラテックスアレルギーでは、天然ゴムの中に含まれているタンパク質によってIgE抗体が産生され、様々なアレルギー症状が現れます。天然ゴムを使った製品であるゴム手袋やコンドームの場合はかゆみやじんましんと言った皮膚症状が多く見られますが、呼吸器や全身に症状が現れることもあります。
皮膚症状にとどまらずアナフィラキシーを起こし、血圧の低下や意識障害に陥ることもあるので注意が必要です。
さらに、気をつけたいのがラテックスアレルギーを有している方がバナナやアボカド、栗などを口にすることでアレルギー症状が現れる場合があることです。ラテックス・フルーツ症候群と呼ばれ、口の中がピリピリとしたり、違和感を感じることがあります。
ハイリスクとなる場合は?
近年、感染予防のために天然ゴムを素材とする手袋を着用する機会が格段に増えた医療従事者。アレルゲンとの接触機会が増えたため、アレルギー発症に結びつくことも珍しくありません。
また、手袋にパウダーがついている手袋では、パウダーが飛散して呼吸器経由で体内へ取り込まれることもあり、こちらも症状を誘引するきっかけとなり得ます。
ラテックスは医療用手袋のほか、医療用カテーテルにも含まれていることから、手術を何度も受けてきた方や医療機関における処置を度々受けてきた方も発症しやすい傾向があります。
診断と治療について
ラテックスアレルギーが疑われる場合、病歴や医療従事者であるかどうか、食物アレルギーの有無などを確認し、必要に応じて血液検査や皮膚テストを行います。ただし、アナフィラキシーを引き起こす可能性があるので、十分に注意を払う必要があります。
有効な治療法はなく、アレルゲンを遠ざけることが一番の予防となります。
現在は、アレルゲン含有量の少ない手袋も出回っており、合成ゴム製品を選択するなどの対処も有効です。
もし、症状が出てしまった場合、接触部位に関しては水で洗い流し、抗ヒスタミン剤などを服用して症状の緩和を図ります。