黄砂とアレルギーについて
毎年、春になると花粉症に悩まされる人が多いと思いますが、ちょうど同じ頃に飛散のピークを迎えるのが黄砂です。一昔前にはそれほど問題にならなかった黄砂ですが、ここ20年ほどで日本各地に黄砂が飛来しているのが観測され、わたしたちの生活や健康に影響を及ぼすようになってきました。
黄砂はどこからくるの?
そもそも、黄砂は日本で発生したものではなく、モンゴルや中央アジアの乾燥地帯や砂漠から巻き上げられた砂や土が、強い偏西風に乗って海を渡ってきたものです。西日本を中心に飛来することが多いのですが、時には、北海道まで届くこともあります。
国際的にも社会問題化している黄砂は、植林や過放牧の抑制などの対策が取られていますが、なかなか追いついていないのが現状です。
黄砂の影響について
シーズンになると、黄砂に関するニュースを目にすることが多くなります。その大半は、視界不良や車、洗濯物への付着などであり、ひどい時には空がかすんで見えることもあります。
また、黄砂の粒子の大きさは5〜10μmほどとかなり微小で、アレルギー症状を引き起こす代表格である花粉よりもかなり小さいため、気管や肺の奥深くまで到達して呼吸器疾患の発症につながってしまうのです。
しかし、黄砂の厄介なところはその大きさだけではありません。
巻き上げられた黄砂は、中国の上空を抜けて海を渡ってくるわけですが、その間に菌や微生物、各種の化学物質などが付着した状態で日本に到達します。特に近年、中国による大気汚染も問題化していますから、当然、その有害物質も黄砂とともにやってくるわけです。
そのため、黄砂の時期になると呼吸器症状だけではなく、アレルギー性結膜炎や皮膚症状などが見られるようになります。場合によっては、工場の上空を通る間にプラスチックや金属が含まれることもありますし、ホコリも一緒に巻き上げられるので、これらにアレルギーがある場合はより症状がひどくなってしまいます。
黄砂の影響を避けるにはどうしたらいいのでしょう
黄砂は昔から見られる現象でしたが、年によっては大気が黄色くなるほどの黄砂が飛来することもあります。黄砂が飛来しやすい3月〜5月は、不要な昼間の外出を控え、洗濯物を外に干さないなどの対策が必要です。また、外出時にはPM2.5に対応したマスクをつけるなど、家や体内に侵入させないことが一番重要です。
春先は、花粉症に加えて黄砂やPM2.5などアレルギー症状を引き起こす物質が大気中に浮遊しやすい時期です。出来るだけ黄砂と接触しにくい環境をつくり、症状がひどくなる前に受診することをお勧めします。
<関連サイト>
黄砂情報(気象庁)