今回は、石が持つパワーをビジネスに変えたFUTAEDA株式会社の二枝たかはる代表にお話を伺いました。
雑貨店や岩盤浴を経営してきた中で見えてきた、F-CON(光冷暖システム)という新しい空間作りは、特許の取得のみならず世界も注目するものとなった今、二枝代表がこれから目指すものや、開発秘話など教えていただきました。
なぜ、Anny Groupをつくろうと思われたのでしょうか。
私は中学から高校、高校から大学には運動で進学をしています。しかし、高校3年生の時に肝臓が悪くなり、運動が途絶えがちになりました。さらに、19歳の時に何箇所も骨折するような大事故に遭遇し、その前後は入院中心の生活を送っていました。
その時に、やはり人は健康が一番だと身にしみて感じましたね。
20歳の時には、私の父は着物屋を営んでいたのですが、そこが傾いて大学を中退することになりました。そのため、着物のセールスのお手伝いなど色々なことをしていたのですが、着物で出来た借金を着物屋で返すというのは、なかなか難しいものだと思っていたところに、たまたま、お客さんの中に健康食品の代理店をされている方がいました。
話を聞いていると非常に興味深く、私はその方に弟子入りをすることに決めました。そして、保育園のお母さん向けに、油の良い調理の仕方やカルシウム不足で起こり得ることなどを紹介する栄養講座を開いていました。それを着物売りの片手間でやっていたのですが、そうこうするうちに、25歳で家の借金を返すことができました。
両親からは、今後はお前の好きなようにしていいと言われましたし、私は色盲であまり色が見えないため、着物屋を続けることが不安でした。そこで、得意な道を歩むことを決意し、アメリカへ渡りました。
アメリカには意気揚々とラルフローレンさんに会いに行ったのですが、結局会えず、その代わりに様々な経験を積むことができ、そこで出会ったのが雑貨屋です。
私はそれまで訪問販売をしてきたのですが、レジにお客さんがたくさん並んでいるのをヒントに作ったのがAnnyのお気に入りという雑貨屋です。これが最初のオリジナルのビジネスになります。
その後、岩盤浴の店舗も経営されていますね。
Annyのお気に入りという雑貨屋では、私が健康系に興味があったこともあり、当初からそれらも織り交ぜなから販売をしていました。今では、売り上げの8割が健康系の雑貨です。
その中で、アトピーの方にも喜んでもらえるコーナーを作ろうと思い、温泉水の勉強をし始めました。なぜ、温泉水の種類によってこんなにも効果が違うのかと思い調べ始めたところ、要は地下にある石がその鍵を握っていることにたどり着きました。それなら、最初から石を選ぶといいのではないかと、石のパワーが入った化粧水や石鹸を作りました。
これはかなり自信があったので、当時としては珍しく、効果がなければ全額返済しますという形を取っていたのですが、あるお客様が3年間で31個、購入したにも関わらず効果がないということで全額返金となったことがあります。
ヒアリングする中で、色々な方がいるのだと実感しましたし、より石のエネルギーを体の中に取り入れてもらいたいという思いで作ったのが石の癒という岩盤浴です。
Annyのお気に入りは当時、28店舗まで拡大しましたが、岩盤浴については3年で48店舗にまで大きくしました。石をあたためることで体があたたまり、それで赤ちゃんを授かることができましたという感謝の手紙をいただいたこともあります。
ところが、石の癒は特許を取っていなかったので、3年経った頃には同業者が3,000ほどに広がりました。さらに、追い打ちをかけるように、3週連続で週刊誌に「岩盤浴は非衛生的ではないか」というテーマの記事が掲載されました。それで一気に売上が落ち、5年で出た利益の2、3倍はなくなってしまいました。
そこから、どのような転機があったのでしょうか。
売り上げはダウンしたのですが、その時に家中をこのエネルギーで充満させることで、家にいるだけで体が良くなるのではないかと閃きました。要するに、家を石によって暖房するという発想です。これを元に、一軒の家を建てました。
ただ、冷房を試行錯誤していたところ、遠赤外線について研究されている方と知り合ったことがきっかけで突破口が開け、特許を取得するまでに至りました。
今では、学校や銀行、病院の待合室などにもF-CON(光冷暖システム)を取り入れていただいております。
F-CON(光冷暖システム)は省エネなのでしょうか?
健康的な空間づくりのために開発したもので、省エネ目的ではありませんでしたが、環境に良いということで、平成26年度に地球温暖化防止活動環境大臣表彰「技術開発・製品化部門」を受賞しています。
その成果もあり、このシステムを備えたホテルを建設する際の資金調達をクラウドファンティングで行う場合、環境省のマークをつけることもできるようになりました。
また、日本のホテルはこれだけ優れているということを発表できるよう、様々な方々が準備を進めてくれており、今年から世界展開を狙っています。
普通は、ホテルを建設しようという発想は生まれにくいと思うのですが、何かきっかけがあったのでしょうか。
個人住宅はすでにありましたし、病院や保育園、マンションにも取り入れていました。今度は何が良いかと考えた時に、例えば、工務店が作っているモデルハウスに泊まってくださいとお願いしても敷居が高いですし、何か借りを作るのではないかという気持ちになってしまいます。さらに、泊まったとしても比較はしにくいものです。
しかし、ホテルであれば普段泊まっている所との比較ができるのではないかと思ったのが一つです。また、ホテルであればフランチャイズで二号店や三号店を出した時に、巨大なモデルルームへと変化できることも要因の一つですね。
この春から、外部より会長や相談役を招くことになっているので、私の人生の中で初めて上司ができることになります。研究は好きですがビジネスのことはまだまだなので、今年からは光冷暖システム一本に専念しようと、レストランも社員に暖簾分けするなど事業規模を縮めているところです。
F-CON(光冷暖システム)を取り入れたホテルが広まると、ここにしか泊まれないという人も増えるのではないでしょうか。
実際、こちらにアスリートの方も泊まりに来られます。ここに泊まったことがきっかけで、ご自宅に取り入れたいとお話をいただくこともありました。
たまたま昨年、アスリートの方とのつながりの中でファスティングの先生と知り合ったのですが、私と家内が参加して血糖値も良くなり、ウエストも12センチ小さくなりました。これは素晴らしいと思い、ファスティングのセミナーを開催したところ、半年間で500人の方が参加してくださいました。
また、こちらでは野球選手の健康管理も預かっており、彼にファスティングをしてもらったところ非常に調子が良いとも聞いております。
これまで、最も大変だったことは何でしょうか?
石の癒という岩盤浴の一号店をオープンした時は、古いビルの1階だったのですが、オープンしてわずか1年で7回改装しました。試行錯誤が好きなので、これまであまり大変だったという気持ちはありません。
資金的に大変な時は過去、2、3回ありましたが、いつも奇跡が起こります。あと10日でこれだけ作らないといけないという状況でも、乗り切ることができました。
F-CON(光冷暖システム)の今後の展開について教えていただけますでしょうか。
F-CON(光冷暖システム)は、夏はパネル表面に水を結露させるのですが、これまでの物件ではそれを全て捨てていました。そのおかげで除湿できて夏もカラッとした室内になるのですが、今度は捨てていた水を飲み水にする特許も取得することができました。
日本だけではなく東南アジアにも全て特許を出していますので、そういったことにチャレンジする準備が整いました。
また、昨年までは正直、工場もなかなかラインを作ってくれませんでした。
極端な話、100台頼んでいるところに急に300台お願いすると、その次の月も300台にして欲しいという話になります。つまり、うちの商品以外作れないラインになってしまうのですね。
そのため、去年までは月に100パネルをコンスタントに作り、大口受注がきた時には他の受注を止めてまで納品するということをしていたのですが、これからは、安定的に供給することができるので、大手のゼネコンの受注も受けられるようになります。
かねてより、私と九州大学の共同研究において、冷房と光冷暖システムでは全く違う脳波になるという研究を行っていました。北米の脳神経学会で発表していたことがきっかけで総合科学雑誌ネイチャーにも掲載されたのですが、それが機会となり、世界企業の研究所オフィスに採用することにもなりました。
また、実は農林水産省とも縁が深いのです。例えば、温風で植物をあたためると暖かい空気は上ばかりで下は涼しいままです。しかも、エアコンのみであたためた場合は空気よりも当然、植物の温度の方が低いものです。
しかし、私たちの方法ではダイレクトに物質をあたためることができるので、空気よりも物質の温度の方が高く、その差は3度あります。さらに、石が空気をイオン化して、生物に良い影響を与えるので抗酸化物質が増え、病気になりにくくなります。九州大学農学部の分析では、ランニングコストが8割カットされ、収穫は1.2倍という結果が出てきています。
遺伝子レベルでも違いが出てきているかもしれないということで、今、本試験も始まったところです。
値段はおいくらなんでしょうか。
新築の方が安いのですが、通常の新築マンションであれば1世帯で250万から300万円ほどになります。リフォームの場合はプラス50万円前後ですね。
一軒家だと新築の場合は300〜400万円、リフォームは350〜500万円くらいです。初期投資は正直まだ高いですが、ランニングコストや住み心地を考えると安いと思います。
ホテルの宿泊費に関しては、当初、ツインとダブルは朝食付きで36,000円でした。それが今は福岡でホテルが増えてきていることもあり、お二人で2万円にまで下げることにしました。
これからも、F-CON(光冷暖システム)を日本のみならず世界中に展開していきたいと思っています。
<まとめ>
私自身がアレルギー疾患を持っていることと、軽度の化学物質過敏症であるため、部屋内の空気環境に敏感な体質を持っています。
そのため、出張時のホテルのエアコンや空気環境で体調を崩すことがしばしばあります。
二枝社長と共通の友人のザクロ屋代表の田中社長が「池ちゃん、ぜひここに泊まると良いよ!」と勧めてくれたのが今回の取材の場所となったグレートモーニングホテルでした。
風を出さなくても石の力で温度調節はできる、空気環境を建材からも考えていくという発想は今までにないものです。
ぐっすりと眠れたのはもちろん、落ち着きのある空間をどのように作られたのかを知りたいと思い、前述の田中社長を通じて、今回の取材の実現となりました。
このシステムは日本全国のみならず、世界中の方に支持され、広がっていくのだろうなと感じております。
会社が急成長し、大変ご多忙な中、取材に応じて頂いた二枝社長、繋いで頂いたザクロ屋@田中社長にこの場を借りて、心より御礼申し上げます。
<参考サイト>
F-CON(光冷暖システム)
https://www.a-hikari.com
Anny Group
https://www.anny.co.jp
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