皮膚にかゆみを伴う湿疹ができ、少し良くなったと思ったら悪化してしまう・・・そんな症状を繰り返すものがアトピー性皮膚炎です。
かゆみや湿疹が治りにくいことが大きな特徴であり、皮膚のバリア機能が低下している場合やアレルギー体質の人によく見られます。
特に、皮膚の表面にある皮脂膜などのバリア機能が弱まっている場合は、乾燥もしやすく、引っかくといった物理的な刺激や、化学的刺激を非常に受けやすい状態となっていて、さらにアトピー性皮膚炎が酷くなるという悪循環に陥りがちです。
このアトピー性皮膚炎の悪化因子としてよく知られているのが、ダニや化粧品、そして、こすったり引っかくといった刺激ですが、これに加えて自分の汗も悪化因子となり得ることが様々な研究を通してわかってきました。
本当に汗がアレルギーに関係しているの?と疑問に思うかもしれませんが、実は汗とアレルギーの関係性は以前から指摘されており、その理由の一つとして湿疹が出やすいところと、汗の見られる部位が似ているということが挙げられます。
首や肘、膝の裏は汗をかいても流れることなく留まりがちなので、よりアトピー性皮膚炎の発症しやすい環境となってしまうのです。
では、なぜ汗がアトピー性皮膚炎に関係しているのでしょうか。
これまで、詳しいことはわかっていませんでしたが、2013年に広島大学大学院医歯薬保健学研究院の秀通広教授らの研究グループが、汗の中に含まれるヒスタミン有利活性物質の同定に成功し、その中にカビが生み出すたんぱく質、MGL_1304が含まれていることが原因であることを突き止めました。
さらに同年、大阪大学大学院医学系研究科情報統合医学講座の室田浩之講師らが、ヒスタミンによる発汗の抑制がアトピー性皮膚炎に関与しているという研究成果を発表しています。
これは、汗がアトピー性皮膚炎を悪化させる因子ではあるものの、汗の量としては減少傾向にあることから、皮膚からうまく熱を放出できずに乾燥や抵抗力の低下を招いていることが原因であることを示しており、これによりまた一つ、アレルギーと汗の関係が紐解かれました。
かいた汗を出来るだけ早く洗い流すようシャワーを浴びる頻度を上げることで効果が見られた例もありますが、まだまだわかっていない部分もたくさんある汗とアレルギーの関係。これらの研究を通して新たな治療やスキンケアが生まれることを願っています。
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