さとなおさんが死にそうになったアナフィラキシーショック(劇症型アレルギー)とは?

クリエイティブ・ディレクターとして知られている佐藤尚之さん。そんな彼は昨年、アナフィラキシーショックを経験し生死をさまよいました。

アレルギー症状としては最も重症であり、早急に対処しなければならないアナフィラキシーショックは、対応が遅れると死に至る危険性あります。だからこそ、その症状や治療についての知識を持ち合わせているかどうかが重要な鍵となるのです。

アナフィラキシーショックとは?

日本アレルギー学会のアナフィラキシーガイドラインでは、このように定義されています。

“アナフィラキシーとは、「アレルゲン等の侵入により、複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与え得る過敏反応」

アナフィラキシーショックは、「アナフィラキシーに血圧低下や意識障害を伴う場合」

つまり、生命を脅かすような非常に危険な状態だということがお分りいただけるかと思います。

アナフィラキシーの原因

アナフィラキシーはアレルギー反応の一種で、抗原が体内に侵入することにより、それを追い出そうとする抗原抗体反応が原因となって引き起こされます。抗原となり得るものは多岐に渡り、卵やそば、ピーナッツといった食物のほか、ハチに刺される、天然ゴム手袋などに使われているラテックスなども原因となります。また、ペニシリン系やセフェム系の抗菌薬やNSAIDs(解熱鎮痛薬)、造影剤などの薬剤によっても引き起こされることがわかっています。

さとなおさんの場合はアニサキス(サバとかイカにつく寄生虫)が原因だったそうです。

アナフィラキシーの症状

では、アナフィラキシーの場合、どのような症状が出るのでしょうか。

<主な症状>

  • 皮膚や粘膜症状(じんましん、激しいかゆみ、唇の腫脹)
  • 呼吸器症状(嗄声、ゼーゼーといった呼吸音)
  • 循環器症状(意識障害、動悸、不整脈)

このほか、嘔吐や腹痛などの消化器症状や激しい頭痛、めまいなどを伴うこともあります。

アナフィラキシーの特徴としてその重篤性に加え、短時間で症状が進行しやすいことがあげられます。症状の進行が予測しにくく、場合によっては数分のうちに症状が出始めることがあります。これらの症状がないままショック状態になることもあり、迅速な判断が必要とされます。

アナフィラキシーの治療

医療機関において、アナフィラキシーだと診断された場合の第一選択薬は、アドレナリンです。筋肉注射にて投与することで、血管を収縮させて血圧を上昇させ、気管支を広げる効果があります。非常に即効性がある薬剤であり、この治療を行なった後に、ステロイドや抗ヒスタミン薬によってアレルギー症状の改善を図ります。また、アナフィラキシーの場合は脱水状態になりやすいため、必要に応じて点滴も行います。

一度、アナフィラキシーを経験した方は、同じ抗原と接触した場合、再びアナフィラキシーの症状が現れやすく、アドレナリンの自己注射製剤であるエピペン®を処方されることがあります。ペン型のキット製剤となっていますが、本人や家族など身近な方が注射を使うことができるよう、日頃から方法を学んでおく必要があります。近年では、アナフィラキシーが起こってしまった児童や園児に対処するため、学校などでの理解や研修も広がりつつあります。

アナフィラキシーが起こらないようにするために最も重要なことは、抗原となる食物や物質との接触を避けることです。

しかし、例えばアレルギーについて理解が少ない子供同士で食べ物のやりとりをしてしまうなど、日常生活の中では予想しない出来事も起こり得ます。そのため、本人や家族だけではなく、学校や職場の方や友人など周りにもアナフィラキシーを引き起こす食物や物質について伝えておくことも大切です。

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