風邪をひいたわけでもないのに、お酒を飲むとひどく咳が出る。そういう経験はありませんか?
それは、ひょっとするとアルコール誘発喘息かもしれません。
アルコール分解の仕組み
体に入ったアルコールは、ADH(アルコール脱水素酵素)などの酵素の働きによって、主として肝臓でアセトアルデヒドに分解されます。その後、別の酵素であるALDH(アルデヒド脱水素酵素)によって酢酸へと変わり、最終的には二酸化炭素と水にまで分解されます。
分解の途中で出会うアセトアルデヒド。有害物質でもあるこの物質はひどく厄介です。なぜなら、体内にそのまま止まることで、頭痛や動悸などを引き起こす要因となってしまうからです。
さらに、アセトアルデヒドは気管支の粘膜にある血管を広げたり、皮膚に広く分布するマスト細胞から、生理活性物質であるヒスタミンを遊離させる働きもあります。ヒスタミンはアレルギー反応に関与していますので、飲酒によって増えたアルデヒドが喘息症状を引き起こしていることは否めません。
人種とアルコール誘発喘息
また、日本人は欧米人と比べるとお酒が弱いと一般的に言われていますが、それはアセトアルデヒドを分解する酵素の活性が低いことが要因です。これは、日本人だけではなくアジア北部に住む人種にも同じことが言え、総じて、喘息症状も起こりやすいと言えます。
これを裏付けるかのように、デンマークで行われた研究ではアルコールを定期的に摂取している人はそうでない人と比べると、喘息のリスクが低いということが報告されています。
生活とは切っても切れないアルコール
では、アルコールを飲まなければいいのだろうかという考えが生まれますが、そうスッキリとはいかないのが難しいところです。
それはなぜかと言うと、アルコール自体はビールやワイン、日本酒などいわゆる「お酒」コーナーに陳列されているものだけではないからです。ちょっと台所を見渡してみると、毎日使うような料理酒やみりんにも含まれていますし、洋菓子の中には、香りづけでほんのりアルコールが添加されているものも珍しくありません。
アルコール誘発喘息を防ぐには、食品に含まれているアルコールについての認識を高めたり、付き合いの席だからと無理をして飲まないという心がけ、そして症状がひどくなる前に医療機関へ受診して相談する姿勢も大切ではないでしょうか。
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