今回は、風邪薬のジキニン®や栄養補給として愛用されているリコリスを販売されている全薬工業・全薬販売の方にお話をお伺い致しました。
近年は、乳幼児やアトピーの方に向けた低刺激の洗浄剤及び保湿剤のアピット®Drも取り扱っていらっしゃるとのことで、その開発経緯や特徴などを教えていただきました。
会社の成り立ちについて教えてください。
全薬工業株式会社は「効きめを創り、効きめで奉仕する」をモットーに1950年に創業しました。当初から、ジキニン®という風邪薬やリコリスという甘草エキスを配合した栄養ドリンクなど、いわゆるOTC医薬品でみなさまの健康に貢献して参りました。また、近年においては抗がん剤の分野において医療用医薬品も手がけております。
アピット®Drを開発したきっかけについて教えてください。
弊社はOTCのステロイド剤も扱っており、スキンケアに関してはかなり前から取り組んでいます。以前は、相談薬局の形態が主流でしたので、薬局のご店主や従業員様を対象に皮膚病の勉強会を積極的に開催していました。
勉強会では皮膚科の著名な先生にも講演、指導いただき、皮膚病の見分け方や症状について多くの知識を蓄積していきました。そして、勉強会を続ける中で、治療薬であるステロイド剤以外にも何か貢献できる製品を開発できないかと模索をしていました。
そして、ロモコート®というブランド名で薬用石鹸を発売しました。米ぬか油を入れたいわゆる低刺激性の洗浄剤ですね。こちらの製品は現在も販売しており、お使いのお客様には大変ご好評をいただいております。
その後さらに研究を重ね、お肌のケアをするために、汚れを落とすと同時に保湿をすることが大変重要であるとの考えに行き着き、お肌の保湿に最大限こだわったアピット®が誕生しました。
そのため、化粧品というよりは、乳幼児やアトピー性皮膚炎の方が使えるようなスキンケア、保湿剤という位置付けで作った製品になります。
当時はちょうど、セラミドとアトピーの関係が示されてきた頃で、アトピーの方に対する保湿剤としてセラミドが適しているのではないかという話題もあり、取り入れたという経緯があります。
アピット®として販売開始いたしましたが、薬局も従来の相談販売からドラッグストアなどに代表されるセルフ販売へ時代が変わっていく中で、実際にお困りになられている現場すなわち医療機関でもお役に立てないかと考えました。
そして生まれたのが「アピット®Dr」です。
同時にアピット®Drは、従来の薬局様と異なる分野への挑戦であったため、グループ会社である全薬販売株式会社で取り扱うことになりました。
アピット®Drは、主に薬局で取り扱っているのでしょうか。
一部の医療機関と調剤薬局でのみ、取り扱っております。
現在、小児科、皮膚科、産婦人科、眼科などの医療機関にお伺いし、アピット®Drの良さについてご説明するとともに、お取り扱いしていただける調剤薬局を増やすための活動をおこなっています。ただ、まだお取り扱い先が少ないため、全薬販売株式会社の公式ホームページにてインターネット購入サイトもご用意しております。
ジェルとクリームは、どのように使い分けたらいいのでしょうか。
ジェルは伸びが良いので、より広い範囲に使っていただくことを想定しています。クリームは、ジェルで物足りない部分に、保湿力やカバー力をより高めたい場合にお使いいただけます。たとえば首の周りや手など、部分的な使い方をお勧めしています。
製品を開発するにあたり、こだわったのはどのようなことでしょうか。
何と言っても一番は安全性です。
皮膚病の方は、人によって肌に合う、合わないがありますので、より多くの方に使っていただくことを考えると低刺激性のものでなければなりません。
そのため、刺激となりそうな界面活性剤やエタノール、香料、着色料など心配のある成分は使わないようにし、保湿をする上で必要なものは取り入れようということでセラミドやヒアルロン酸を配合しています。
一般的に、保湿剤として油を入れる際には界面活性剤が必要になるのですが、それを使わずに乳化する特別な技術(超高圧乳化法等)を用いることによって製品化が可能となりました。
本当に、手間暇かけて試作も苦労し、こだわりだけは守りながら製品を作りました。
特に、セラミドという油は、水だけではなく他の油にも溶けにくいという性質を持ち合わせています。そのため、界面活性剤を使わず均一に、そして安定的に配合する点は、非常に苦労いたしました。
アピット®Drという名前の由来について教えてください。
いくつか候補はありましたが、アトピーが由来となっています。
やはり、アトピーの方にも安心して使っていただきたいという願いを込めております。
アトピー以外の皮膚疾患の方にも使われることがありますか?
一番、シャープに反応が出るのはご高齢の方ですね。乾燥して足が痒くなる時などにお使いいただくと、カサつきが気にならなくなるので好評です。
一度使っていただくと調子がいいので、冬場などは継続して使っていただくケースが多いですし、そこが評価されているのだと思います。
また、花粉でもお肌が荒れるのでお顔のケアにも使っていただけますし、男性の髭剃り後にもお使いいただけます。
泡で出るタイプの石鹸も販売されていますが、こちらの特徴について教えてください。
アピット®Drフォーミングソープでこだわったのは、洗い上がりのさっぱり感よりも保湿感です。お肌に必要な脂を余計に落としすぎないようにしています。石鹸なので正直、界面活性剤が入っているのですが、弱酸性で肌に優しいアミノ酸系の界面活性剤を使用していますので、お肌のpHをアルカリ性にせず、できるだけ低刺激に仕上げています。
泡立てる手間がいらず、優しく洗うことができるという点にもこだわっています。
小児科や皮膚科の先生が「よく泡立てた泡で洗いましょう」というお話をされますが、お子さんが小さい場合は泡立てになかなか時間をかけることができないので、こういったきめ細かい泡で汚れをしっかり落としていただくと効果的ではないでしょうか。
最近では、新生児の沐浴に使っていただいている産婦人科もいくつかあり、大変好評いただいております。はじめは、小児科の先生がきっかけで導入していただいたのですが、優しく洗えるもので看護師や助産師の方々の手間にならないというところも受け入れられているようです。
赤ちゃんの頃からきちんとスキンケアをしていただくと、将来的なアトピーの発症低減が期待できるというデータもありますので、我々としても啓発しながら製品を提案し、その後も引き続きお母様方に使っていただけると嬉しいですね。
製品を使うにあたって、アドバイスがあればお願いします。
お子様の場合は、スキンケアをしっかり行っていただくということが一番大切かと思います。特に、ご家族にアトピーやアレルギーをお持ちの方がいると、生まれてきたお子様もアトピーの発症率が高くなりますので、日頃のスキンケアが大切になります。
そして、たっぷり塗ることも大切です。化粧品やスキンケア製品はテカるくらい塗る方が効果的なので、こちらも皆様にお伝えしているところですね。
そうは言っても、塗ることによって時間が取られますし、子供が嫌がるとストレスも感じます。塗るという行為も一つのスキンシップではありますが、できるだけ負担にならないように伸びの良いジェルを全身に塗っていただくといいですね。
また、介護が必要となり肌が乾燥している方であれば、塗ってあげることで必然的にスキンシップが取れるようになります。触れ合いながら保湿をしてあげることがコミュニケーションにつながるので、そういった意味では赤ちゃんからご高齢の方まで広くお使いいただける製品だと自負しております。
最後に伝えたいことがあれば、お願いします。
アレルギーを減らしていきましょうということですね。
最近、食物アレルギーをお持ちのお子さんが増えてきているのですが、実は食べることよりも肌からの経皮感作によって引き起こされるという説があります。
食物アレルギーは、肌のバリア機能の低下から始まるとも言われており、肌が荒れているとアレルゲンが入ってきやすいようです。
そういった意味でも、我々は製品を通して、肌のバリア機能を守っていくことが大切だと考えています。
まとめ
今回、全薬工業さんに初めて伺ったのですが、とてもまじめで質実剛健的な印象を持ちました。
私自身、外資系製薬企業に12年余り勤務していたこともあり、
製薬企業はこんな感じというイメージがありますが、いい意味で違う会社と感じました。
患者さんのことを真剣に考え、その声を拾いながら製品化を図っていく姿勢は製薬企業のある意味、正しい姿なのかなとも思いました。
「高い技術、はやりの新成分で新薬開発!」ということではなく、地味だけど、コツコツとお悩みを抱えている患者さんに寄り添った製品を開発、販売されている様子には好感を持ちました。
私自身、小児時にアトピーで皮膚はあまり強くありませんので、サンプルで頂いた製品を使ってみましたが、どれも汚れを落としつつも、皮膚の必要な脂分や水分を取り除かない面でいいなと思いました。
最後に全薬工業さんにサンプルを何点か頂戴したので、抽選で3名の方にアピット製品をお送りしたいと思います。
希望者の方は下記の項目をご記入の上でお申し込みくださいね。(当選は5月31日に発表致します!)
お名前
メールアドレス
申し込んだ理由
送り先:office@mr-net.org (担当 池上)
<参考サイト>
全薬販売株式会社アピット®Drブランドサイト
https://www.zenyaku-hanbai.co.jp/business/product/apyttdr/
全薬工業株式会社
https://www.zenyaku.co.jp/
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。