米国におけるゴマアレルギーの有病率と重症度について示した論文

近年、アメリカではごまアレルギーに対する関心が高まっています。これは、ごまアレルギーが一般的な食物アレルギーの一つであり、あらゆる年齢層の患者に影響をもたらしていることがわかってきたからです。

高まりつつあるごまアレルギーの脅威

ごまアレルギーは心身および経済的負担がかかるだけではなく、時に、アナフィラキシーをもたらす可能性も示唆されています。現在、アメリカにおいてごまは食品ラベルの原材料リストには表記されていません。そのため、その食品にごまが含まれるかどうか、消費者が判断できないこともあります。

ごまアレルギーを有する割合の高まりを受け、このほど有病率や重症度などに言及した調査が行われました。

アメリカの2015年10月1日から2016年9月30日まで抽出された世帯に対してWEBおよび電話で実施され、大人40453人、子供38408人のサンプルが得られました。

調査によって得られた結果とは?

最終的に得られた78,851人のサンプルのうち、251人(102人の子ども、149人の成人)がごまアレルギーとして分類されました。これは、アメリカの人口の0.23%に該当します。

ごまアレルギーに世帯収入は影響しませんでした。また、全体的な有病率は中西部が0.19%、北東部では0.37%と違いはありましたが、アメリカ全土に影響を及ぼしていると推定されます。

さらに、ごまアレルギーのある人は喘息など他のアレルギー性疾患を持っている可能性が高いということもわかりました。あわせて、ごまアレルギーがある場合、その41%の親が食物アレルギーを有しており、喘息の病歴を持っている割合も高いことがわかりました。

ごまアレルギーの治療について

ごまアレルギーの治療については、少なくとも33.7%がこれまでに一度はエピネフリン自己注射薬を使用したことがあると回答しました。そして、49.8%が抗ヒスタミン薬、9%は喘息吸入器使用、12.8%はごまアレルギーの症状が出た際にステロイドを使用しているということも報告されています。

ごまが広く消費されているオーストラリアやカナダ、ニュージーランドでは既にごまをアレルゲンとしてラベルに表記することが義務づけられていますが、アメリカでは、これらの国とごまアレルギーの発症割合が同等にも関わらず、個別での表記が義務付けられていません。

結果的に、ごまアレルギーがアメリカの少なくとも100万人の子供と成人に影響を与える可能性があります。また、エピネフリンでの治療を経験している割合も高いことから、ごまアレルギーの管理が適切ではないことも浮き彫りとなりました。

アメリカにおけるごまアレルギーはこれから増えることが考えられ、それに伴いヘルスケアサービスの負担も増大すると考えられます。今回、提示されたデータを元にごまアレルギーに関する公衆衛生負担が適切に評価され、それを軽減する努力へとつながることを望んでいます。

<参考>

Prevalence and Severity of Sesame Allergy in the United States

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